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UGSで加工原点を設定する方法|GRBLの機械座標・作業座標・G54を理解する

自作CNCでホーミングを終えたあと、「これで加工を始められる」と思ってしまうことがあります。

しかし、ホーミングで決まるのは機械全体の基準位置です。材料の左下や中央、表面など、加工データが基準にしている位置は別に設定する必要があります。

この記事では、Universal Gcode Sender(UGS)とGRBLを使う初心者に向けて、機械原点と加工原点の違い、G54作業座標、X・Y・Zをゼロにする前の確認事項を整理します。

安全上の注意:この記事は一般的なGRBL 1.1とUGSの考え方を説明するものです。Studio Kuraの実機で使用しているUGSの版、GRBL版、座標設定方法、工具長、材料固定方法は未確認です。画面上のボタン名称や、そのボタンが送信するコマンドはUGSの版・設定によって異なるため、実際の表示と公式資料を確認してください。

機械原点と加工原点は別のもの

CNCでは、主に2種類の座標を区別します。

機械座標(MPos)

機械座標は、CNC本体が可動範囲を管理するための座標です。

リミットスイッチを使ってホーミングすると、GRBLは機械上の基準位置を確認します。この座標は、ソフトリミットや安全な移動範囲の管理に使われます。

作業座標(WPos)

作業座標は、加工する材料を基準にした座標です。

例えばCAMで「材料の左下をX0・Y0、材料表面をZ0」と設定した場合、CNC上でも同じ場所を加工原点として登録する必要があります。

  • ホーミング:機械が自分の位置を知る
  • 加工原点設定:材料と加工データの位置を合わせる

この2つは別の作業です。ホーミングを行っても、材料の加工原点が自動的に決まるわけではありません。

MPos・WPos・WCOの違い

UGSやGRBLの状態表示では、次の略称が使われることがあります。

  • MPos:Machine Position、機械座標
  • WPos:Work Position、作業座標
  • WCO:Work Coordinate Offset、機械座標と作業座標の差

例えば工具が機械座標X100の位置にあり、その場所を作業座標X0とした場合、座標間には100mm分のオフセットが存在します。

UGSの数値を見るときは、数値だけでなく、それがMPosなのかWPosなのかを必ず確認します。

G54とは

GRBLは、G54からG59まで6種類の作業座標系を扱えます。通常の加工では、最初の作業座標系であるG54が使われることが多くあります。

GRBLのConsoleで次を送ると、現在有効なモードを確認できます。

$G

応答例:

[GC:G0 G54 G17 G21 G90 G94 M5 M9 T0 F0 S0]

この中にG54があれば、G54作業座標系が選択されています。ただし、これは表示例です。実際の応答内容は現在のGRBL状態によって異なります。

保存されている作業座標オフセットは、次のコマンドで確認できます。

$#

応答には、次のような行が含まれます。

[G54:0.000,0.000,0.000]
[G55:0.000,0.000,0.000]
[G92:0.000,0.000,0.000]

設定変更前には、$G$#の結果を日付・機械名とともに保存しておくと、問題発生時の確認に役立ちます。

加工原点はCAMの設定に合わせる

加工原点を決める前に、CAMでどこを原点にしたか確認します。

よく使われる場所は次のとおりです。

  • 材料の左下
  • 材料の右下
  • 材料の中央
  • 材料表面
  • 捨て板表面

CAMが材料中央を原点にしているのに、CNCでは左下をゼロにすると、加工位置がずれます。Z軸についても、材料表面をZ0にしたデータと、捨て板表面をZ0にしたデータでは設定方法が異なります。

加工前には、少なくとも次を確認します。

  1. CAMで設定したX・Y原点
  2. CAMで設定したZ原点
  3. 単位がmmかinchか
  4. 材料寸法と加工範囲
  5. 工具径と工具長
  6. クランプや固定具の位置

UGSで加工原点を合わせる基本の流れ

UGSの版によって画面名称や操作位置は異なりますが、考え方は共通しています。

1. CNC周辺を確認する

工具、材料、クランプ、ケーブルが移動範囲へ干渉しないか確認します。非常停止または主電源遮断をすぐ行える状態にし、最初はスピンドルを停止したまま確認します。

2. ホーミングを行う

ホーミング機能とリミットスイッチが正しく設定済みの機械では、通常の手順でホーミングします。

ホーミング未設定の機械では、この記事だけを根拠に$Hを実行しないでください。移動方向やスイッチ入力が正しいことを先に確認する必要があります。

3. 現在の状態を保存する

設定変更前に、Consoleで次を確認します。

$G
$#

表示結果を保存し、作業座標系、単位、距離モードを確認します。

4. 材料と工具を安全に固定する

加工中に材料が動くと、原点が正しくても加工位置はずれます。クランプが加工経路や工具へ干渉しないように配置し、材料の浮きやがたつきがないことを確認します。

5. 小さな移動量でX・Y原点へ近づける

UGSのJog機能を使い、最初は大きく移動せず、小さな移動量で工具を加工原点へ近づけます。画面表示だけでなく、実際の工具位置と移動方向を目視します。

6. X・Yの作業座標をゼロにする

工具中心をCAMで決めたX・Y原点へ合わせ、UGSの作業座標をゼロにする機能を使います。

UGSの版によって「Reset Zero」「Zero X」「Zero XY」など表示が異なる可能性があります。また、使用するコマンドも実装によって異なります。画面上で0になったことだけでなく、$#や状態表示を使い、意図した作業座標系へ反映されたか確認してください。

GRBLの標準的なコマンドでは、現在位置をG54のX0・Y0として設定する例は次のようになります。

G10 L20 P1 X0 Y0

ただし、初心者がUGSのボタンとConsoleコマンドを重ねて操作すると、複数のオフセットが混在する可能性があります。通常は、使用するUGSの正式な原点設定機能へ統一することを推奨します。

Z原点は特に慎重に設定する

Z軸は、工具を材料や捨て板へ押し付ける方向に誤操作すると、工具、材料、スピンドル、機械を破損する危険があります。

一般的には次の方法があります。

  • 紙を使って工具先端と材料表面の接近を確認する
  • 厚さが確認されたタッチプレートとプローブ機能を使う
  • 専用の工具長測定器を使う

紙を使う方法でも、工具を一度に大きく下降させません。スピンドルを停止し、少しずつ近づけます。

プローブを使う場合は、プレート厚、入力端子、配線、導通、プローブコマンド、失敗時の停止方法が確認済みであることが必要です。Studio Kura実機のプローブ有無と構成は未確認のため、具体的な端子やプレート厚は掲載しません。

G92とG54を混同しない

作業座標をゼロにする方法として、G92が使われる場合もあります。

ただし、G92はG54そのものを書き換えるのではなく、さらに一時的な座標オフセットを重ねる仕組みです。G54とG92が同時に使われると、初心者には現在位置が分かりにくくなることがあります。

GRBL公式資料では、G54〜G59は保存される作業座標系であり、G92はリセットや電源操作後に保持されない一時的なパラメーターとして説明されています。

UGSの原点設定ボタンがどの方法を使うかは版や実装によって異なる可能性があります。操作後は$#を確認し、意図しないG92オフセットが残っていないか確認します。

意味を理解しないままG92.1$RST=#を実行しないでください。保存済み座標が消える可能性があります。

加工開始前のチェックリスト

  • UGSが示すWPosのX・Y・Zが意図した値か
  • CAMの原点と実機の原点が一致しているか
  • G20(inch)とG21(mm)のどちらが有効か
  • G90(絶対座標)とG91(相対座標)のどちらが有効か
  • 使用する作業座標系がG54か
  • 材料寸法と加工範囲が一致しているか
  • 工具経路がクランプへ接触しないか
  • Z方向の安全高さが確保されているか
  • スピンドル回転数と送り速度を確認したか

可能であれば、まずCAMまたはUGSのプレビューで工具経路を確認します。

空中運転を行う場合も、工具と材料の間に十分な距離を取り、スピンドルを停止した状態で、経験のある担当者が非常停止できる状態で実施してください。

よくある間違い

ホーミング位置をそのまま加工原点だと思う

ホーミングは機械の基準であり、材料の基準ではありません。

MPosとWPosを見間違える

画面に表示された数値が機械座標か作業座標か確認します。

CAMと異なる場所をゼロにする

左下、中央、材料表面、捨て板表面など、CAMと同じ基準を使います。

G54とG92を重ねて使う

オフセットが複雑になり、再起動前後で位置関係を誤認する可能性があります。

大きなJogで一気に材料へ近づける

方向や単位を間違えた場合に停止が間に合いません。最初は小さな移動量で確認します。

まとめ

UGSで加工原点を設定するときは、次の順序で考えます。

  1. ホーミングで機械座標の基準を作る
  2. CAMの加工原点を確認する
  3. $G$#で現在状態を保存する
  4. 工具を材料上の原点へ安全に近づける
  5. G54作業座標のX・Y・Zを設定する
  6. MPosとWPosを区別して確認する
  7. 単位、距離モード、工具経路、安全高さを確認する
  8. プレビューまたは安全な空中運転で最終確認する

ホーミングと加工原点設定を分けて理解すると、CNCの位置ずれや材料外への加工を防ぎやすくなります。

Studio Kura実機のUGS版、原点設定ボタンの動作、GRBL版、プローブ構成は現在未確認です。実機画面と設定を確認できた段階で、画面写真と実例を追加する予定です。

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